世界の海洋ゴミ対策の最前線!日本が学ぶべきこと
- スタッフ
- 3月11日
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更新日:3月12日
海洋ゴミ問題は、今や地球規模の環境課題となっています。世界各国では、この深刻な問題に対処するためにさまざまな取り組みが行われていますが本記事では、各国の先進的な海洋ゴミ対策をいくつか紹介し、日本が学ぶべきポイントを考察します。

1. オランダ:The Ocean Cleanup 〜世界を変える革新的な海洋ゴミ回収技術〜
オランダの環境団体 「The Ocean Cleanup」 は、海洋プラスチック問題を解決するために画期的な技術を開発し、世界的に注目を集めています。この団体は2013年に当時18歳だったボイヤン・スラット氏によって設立され、「技術の力で海を綺麗にする」ことを使命としています。
特に、世界で最も深刻な海洋ゴミの集積地である 「太平洋ゴミベルト(Great Pacific Garbage Patch)」 に対し、大規模な回収プロジェクトを展開。海流を利用しながらゴミを集める 「System 002(ジェニー)」 や、最新の 「System 03」 を活用し、効率的にプラスチックを除去しています。これにより、広大な海域に散らばるゴミを人の手を使わずに回収し続けることが可能になりました。

また、The Ocean Cleanupは海に流れ込むゴミの約80%が 河川 から流出していることに着目し、未然にゴミを防ぐための 「Interceptor(インターセプター)」 というシステムを開発。これは川に浮かべる自動回収装置で、水流を利用しながら大量のプラスチックゴミを回収します。現在、このシステムは世界各地の河川で運用され、海洋ゴミの発生源を減らす大きな役割を果たしています。
日本が学ぶべきポイント
The Ocean Cleanupの取り組みから、日本が学ぶべき重要なポイントは以下の2点です。
✅ 技術を活用した大規模な回収システムの導入日本の沿岸でも漂流ゴミが問題になっていますが、現在の回収作業は人手に依存している部分が多く、効率的とは言えません。オランダのように 自動化・機械化 されたシステムを導入することで、より大規模な海洋ゴミの除去が可能になります。
✅ 河川からの流入ゴミを防ぐ仕組みの構築海に流れ込むゴミの多くは、元をたどると川から来ています。日本でも、The Ocean Cleanupの Interceptorのような技術を取り入れ、河川の段階でゴミを回収する仕組み を整えることで、海洋プラスチック問題を根本から解決することができるでしょう。

The Ocean Cleanupの技術革新は、海洋環境保護の未来を大きく変える可能性を秘めています。日本でも、より積極的に技術を活用し、海を綺麗にする取り組みを進めていくことが求められます。
2. ノルウェー:デポジット制度の徹底 〜世界最高水準のリサイクル率を誇る取り組み〜
ノルウェーは、世界でもトップクラスの ペットボトル・缶のリサイクル率(90%以上) を誇る国です。その高い回収率を支えているのが 「デポジット制度(預かり金制度)」 です。この制度は、消費者が飲料容器を購入する際に 一定額のデポジット(保証金) を支払い、使用後に指定の回収機に返却すると その金額が返金される 仕組みになっています。
このデポジット制度を運営するのは、ノルウェーの 非営利団体「Infinitum(インフィニタム)」 です。同団体は全国のスーパーマーケットやコンビニに リバースベンディングマシン(自動回収機) を設置し、消費者が簡単に飲料容器を返却できる環境を整えています。回収機にボトルや缶を入れると、レシートの形でデポジットの返金が受け取れる仕組みになっており、消費者が積極的にリサイクルに参加できるインセンティブを提供しています。

デポジット制度の効果
この制度の導入により、ノルウェーでは リサイクル率の向上 と ポイ捨ての削減 が大幅に実現されました。例えば、国内のペットボトルや缶の 約97% が回収され、そのうちの 92%以上 が高品質なリサイクル資源として再利用されています。また、ゴミのポイ捨てが大幅に減少したことで、街の清潔さを保つことにも成功しています。
さらに、Infinitumは 「ボトル・ツー・ボトル(Bottle to Bottle)」 のリサイクルを推進しており、回収したペットボトルを新しいボトルの製造に再利用することで 循環型社会の実現 を目指しています。これにより、リサイクル資源の品質が維持され、プラスチックの新規生産量を大幅に削減することが可能になりました。
日本が学ぶべきポイント
ノルウェーのデポジット制度から、日本が学ぶべきポイントは以下の通りです。
✅ 消費者が積極的にリサイクルに参加できる仕組みづくり日本でもペットボトルのリサイクルは進んでいるものの、回収率をさらに高めるためには 消費者にとってメリットのあるインセンティブを導入すること が重要です。例えば、ノルウェーのように 自動回収機を全国のスーパーマーケットやコンビニに設置し、回収した際にポイントやキャッシュバックを提供する 仕組みを導入すれば、より多くの人がリサイクルに積極的に参加するでしょう。
✅ ボトル・ツー・ボトルの推進によるリサイクル資源の高度利用現在の日本では、回収されたペットボトルの多くが衣類や建材などにリサイクルされていますが、ノルウェーのように 回収ボトルを新しいボトルに再利用する「ボトル・ツー・ボトル」 の技術をさらに発展させることで、プラスチックごみの削減と資源の有効活用が可能になります。
✅ ポイ捨てを減らすための実効性のある政策日本でもポイ捨て問題は依然として深刻です。ノルウェーのように 消費者がリサイクルを行うことで直接的なメリットを得られる制度 を導入すれば、街や海岸へのゴミの流出を防ぎ、環境負荷の軽減に大きく貢献することができます。
ノルウェーのデポジット制度は、 経済的なインセンティブを活用することで環境保護を促進する優れた成功事例 です。日本もこの制度を参考にしながら、より効果的なリサイクル政策を構築し、海洋ゴミの削減に取り組むべきではないでしょうか。
3. 韓国:使い捨てプラスチックの大幅削減 〜法規制と市民参加で実現する持続可能な未来〜
韓国は、プラスチックごみの削減に向けて 積極的な法規制と社会全体での取り組み を進めている国の一つです。特に、2022年から施行された 使い捨てプラスチック製品の使用制限 に関する法律により、カフェやレストランでのプラスチック製ストローやカップの使用が禁止され、紙製やリユース可能な容器への移行が進められています。
また、韓国政府は 「脱プラスチック政策」 の一環として、使い捨てプラスチックの削減目標を掲げ、企業や市民の協力を得ながら社会全体でのプラスチック削減を推進しています。

具体的な取り組み
✅ カフェやレストランでの使い捨てプラスチック禁止韓国では、特に カフェ文化が発達 しており、以前は多くの店舗でプラスチックカップが使用されていました。しかし、2022年以降の法律改正により 店内でのプラスチックカップ使用が禁止 され、代替として 紙製カップやリユース可能なマグカップ の利用が義務付けられました。さらに、持ち帰り用のカップもプラスチックではなく、環境に優しい素材のものを選択することが求められています。
✅ コンビニやスーパーでのプラスチック製レジ袋の禁止韓国では以前から レジ袋の有料化 が進んでいましたが、2022年の新たな法改正により、 コンビニやスーパーでのプラスチック製レジ袋の提供が完全に禁止 されました。これにより、多くの消費者が エコバッグの持参を習慣化 するようになり、環境意識の向上が図られています。
✅ 企業へのプラスチック削減義務の強化韓国政府は、企業に対してもプラスチック削減を義務付けています。例えば、食品業界や化粧品メーカーには過剰包装の禁止が求められており、簡易包装の推奨が進められています。 また、大手チェーン店では、使い捨てスプーンやフォークを紙製や木製に変更する動きも広がっています。
✅ リユース容器の普及韓国では、使い捨て容器を減らすために リユース可能な容器のシェアリングサービス も広がっています。例えば、カフェでテイクアウトをする際に 再利用可能なカップを借りて、利用後に返却する という仕組みが導入されており、消費者の意識改革が進められています。
日本が学ぶべきポイント
韓国の取り組みから、日本が学ぶべきポイントは以下の通りです。
✅ 使い捨てプラスチックの段階的な削減日本でもプラスチック製ストローやレジ袋の有料化が進んでいますが、韓国のように 法規制をより厳格化し、使い捨てプラスチック製品の使用自体を禁止する ことが、さらなる削減につながる可能性があります。特に、カフェや飲食店でのプラスチック容器の使用削減を進めることで、日常生活の中でのプラスチックごみを大幅に減らすことができます。
✅ 代替素材の活用やリユース文化の促進韓国では、紙製やバイオプラスチックなどの 環境に優しい代替素材 が積極的に導入されており、日本もこの流れをさらに推進すべきです。また、リユース可能な容器の貸し出しサービスを日本でも普及させることで、消費者の意識を変え、使い捨て文化からの脱却を目指すことができます。
✅ 企業と消費者が一体となった取り組みの促進韓国では 政府の規制強化だけでなく、企業と消費者の協力が不可欠 となっています。日本でも、企業が環境に配慮した製品を開発し、それを消費者が積極的に選ぶような流れを作ることが求められます。例えば、企業が提供する商品の 包装を簡素化 し、消費者がそれを支持することで、持続可能な消費スタイルを社会全体で築くことができます。
韓国の「脱プラスチック」政策は、 政府の強いリーダーシップと、市民・企業の協力によって成功を収めているモデルケース です。日本もこの成功事例を参考にしながら、より効果的な使い捨てプラスチック削減策を実施し、環境負荷の少ない社会を目指していくべきでしょう。
4. アメリカ・ハワイ州:海洋プラスチックのリサイクルと再利用 ~美しい海を守る革新的な取り組み~
ハワイ州は、その美しいビーチと豊かな海洋生態系で世界的に知られています。しかし、その一方で 海洋プラスチックごみの深刻な影響を受けている地域の一つ でもあります。ハワイ諸島の地理的な位置の関係で、太平洋を漂流する 大量のプラスチックごみが海岸に漂着 し、環境や生態系に悪影響を及ぼしています。この問題に対応するため、ハワイ州では 海洋ごみの回収と再利用 に積極的に取り組んでいます。

具体的な取り組み
✅ 漂着プラスチックごみの回収とリサイクルハワイでは、多くのNPOや市民団体が協力し、ビーチクリーン活動 を定期的に実施しています。海岸に打ち上げられた 漁網やプラスチックボトル、発泡スチロール などのごみを回収し、それらをリサイクルすることで、新たな資源として活用する取り組みが進められています。
✅ リサイクルプラスチックを活用した道路の舗装ハワイ州の一部では、回収したプラスチックごみを 道路の舗装材 に再利用する技術が導入されています。プラスチックを細かく砕き、アスファルトと混ぜることで、耐久性が高く、環境負荷の少ない舗装材として活用することができます。この方法は、ごみの削減とインフラ整備を同時に実現できる画期的な取り組み であり、今後のさらなる普及が期待されています。
✅ 建材への活用とサステナブル住宅の建設ハワイでは、海洋プラスチックを 建材として活用 するプロジェクトも進んでいます。例えば、回収されたプラスチックをリサイクルし、断熱材や壁材、屋根材 などの建築資材として利用する試みが行われています。これにより、持続可能な住宅建設が可能になり、廃棄物の削減にも大きく貢献しています。
✅ リサイクル素材を使用したファッション・家具の開発近年、ハワイでは サステナブルファッション に対する関心も高まっており、リサイクルプラスチックを使用した衣類やアクセサリー が販売されています。例えば、回収した漁網やプラスチックごみを加工し、サングラスやビーチサンダル、バッグなどの製品に再生するブランドも登場しています。また、リサイクル素材を活用した家具の開発も進んでおり、海洋プラスチックを利用した テーブルや椅子、デザイン性の高いインテリアアイテム などが製造・販売されています。
日本が学ぶべきポイント
✅ 漂着ごみのリサイクルと再利用の推進日本も、海岸に大量のごみが漂着する課題を抱えています。特に、離島や沿岸地域では、ハワイと同様に プラスチックごみが堆積しやすい状況 にあります。これらのごみを単に処理するのではなく、ハワイのように 道路や建材、生活用品として再利用する仕組みを確立 することで、廃棄物削減と資源の有効活用を両立させることができます。
✅ 企業と連携したサステナブル製品の開発ハワイでは、企業が積極的にリサイクルプラスチックを活用した製品を開発しています。日本でも、アパレル・建築・日用品メーカーなどと協力し、海洋ごみを再利用した製品の開発を推進 することで、環境保護とビジネスの両立を目指すことが可能です。特に、日本の技術力を活かし より高品質で実用的なリサイクル製品を生み出すこと が、今後の重要な課題となるでしょう。
✅ インフラへの活用日本では、道路の舗装材や建築資材にプラスチックを活用する事例がまだ少ないのが現状です。しかし、ハワイのように 海洋プラスチックを道路や建材に活用する技術を導入すれば、環境負荷を減らしながら、社会インフラの整備も同時に進めることが可能 になります。特に、災害が多い日本では 持続可能で耐久性の高いインフラ整備 が求められるため、ハワイの事例は大いに参考になるでしょう。
5. 日本における今後の展望 ~海洋ゴミ問題へのさらなる対策強化が求められる~
日本でも 海洋ゴミ問題に対する対策が徐々に進められています。例えば、2022年に施行された プラスチック資源循環促進法 や、全国的に導入された レジ袋の有料化 などは、日本国内のプラスチックごみ削減に向けた大きな一歩です。
しかし、世界的な視点で見ると、欧米諸国や環境先進国と比較して、日本の取り組みにはまだ多くの課題が残されている のが現状です。例えば、オランダの「The Ocean Cleanup」のような大規模な回収システムは、日本にはまだ導入されておらず、ノルウェーのデポジット制度のように 消費者が主体的にリサイクルへ参加できる仕組みも十分に普及していません。また、韓国のように 法的な規制によって使い捨てプラスチックの削減を強化する動きも、日本ではまだ限定的 です。
今後、日本がより効果的な海洋ゴミ対策を進め、環境負荷を減らすためには、以下のような取り組みを強化していく必要があります。

1️⃣ 企業と消費者が協力し、使い捨てプラスチックを減らす文化を定着させる
使い捨てプラスチックの削減には、企業と消費者が一体となって行動することが不可欠 です。現在、多くの企業が紙製ストローやバイオプラスチック製品の導入を進めていますが、消費者側の意識改革も同時に進めることが重要です。
例えば、ノルウェーのデポジット制度のように 「使い捨てをやめるとお得になる仕組み」 を導入することで、消費者の行動を変えることができます。日本でも、スターバックスやマクドナルドが タンブラー持参時の割引制度 を取り入れていますが、まだ広く普及しているとは言えません。今後は、ポイント還元や割引制度を拡大し、マイボトルやマイバッグの利用を促進する政策が求められます。
また、企業側も 「エコフレンドリーな製品が選ばれる仕組み」 を構築することが必要です。例えば、スーパーやコンビニでは、プラスチック包装が少ない商品を 「環境に優しい選択」として消費者に分かりやすく表示する仕組み を取り入れることで、消費行動の変化を促すことができます。
2️⃣ 河川のゴミ回収システムを強化し、海への流出を防ぐ
日本の海洋ゴミの約 80%は、河川を通じて海へ流出している と言われています。そのため、海に流れ込む前の段階で 河川のゴミを効果的に回収できるシステムを整備することが重要 です。
例えば、オランダの「Interceptor(インターセプター)」のように、川の表面に浮かぶゴミを自動で回収できる装置を設置することで、大量のゴミが海に流れ込むのを未然に防ぐことができます。日本でも、自治体レベルで河川の清掃活動が行われていますが、より 技術を活用した効率的な回収システムの導入 が求められます。
また、市民参加型の取り組みを拡大することも重要 です。例えば、学校や地域団体と連携し、定期的に河川清掃活動を実施することで、地域住民の環境意識を高めることができます。さらに、企業スポンサーの支援を受けて、清掃活動に参加した人にポイントや特典を提供する仕組みを導入すれば、より多くの人が関心を持つきっかけになるでしょう。
3️⃣ リサイクル技術を向上させ、海洋ゴミを資源として活用する仕組みを整える
ハワイ州では、回収した海洋プラスチックを道路や建材、ファッションアイテムに再利用する試みが進められています。日本でも、同様の取り組みを より大規模に展開することが求められています。
例えば、現在日本でも進められている 「ケミカルリサイクル」技術をさらに発展させることで、海洋ゴミを石油由来の原料に戻し、新たなプラスチック製品へと再生することが可能 になります。この技術の活用を推進し、より多くの海洋プラスチックを資源として循環させることで、廃棄物の削減と資源の有効活用を同時に実現できます。
また、日本企業の技術力を活かし 「海洋ゴミから新たな製品を生み出す」プロジェクト を拡大することも大切です。例えば、海洋ゴミを使ったアパレル製品やインテリア雑貨を ブランド価値として打ち出し、消費者が積極的に購入できる市場を作ることができれば、環境保護とビジネスの両立が可能 になります。
~世界の先進的な取り組みを学び、日本独自のアプローチを確立する~
海洋ゴミ問題の解決には、一つの国だけでなく、世界全体での協力が不可欠 です。オランダのThe Ocean Cleanup、ノルウェーのデポジット制度、韓国の使い捨てプラスチック削減政策、ハワイの海洋プラスチックリサイクルなど、世界の先進的な取り組みから学べることはたくさんあります。
日本は 「技術力」「消費者意識」「企業の環境対策」 の3つの側面で改革を進めることで、より効果的な海洋ゴミ対策を展開できる可能性があります。

🌎 日本が目指すべき未来 🌎
✅ 消費者と企業が協力し、使い捨てプラスチックを削減
✅ 河川のゴミ回収システムを強化し、海への流出を未然に防ぐ
✅ リサイクル技術を向上させ、海洋ゴミを資源として活用する仕組みを確立
こうした取り組みを進めることで、日本は よりクリーンで持続可能な未来を実現できる でしょう。私たち一人ひとりができることを考え、日々の生活の中で小さなアクションを積み重ねていくことが、環境保護への大きな一歩となるはずです。
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